登山やアウトドアに関する学びのある本や面白かった本を紹介します。
紹介したい本はたくさんあるので少しづつ更新していく予定です。意外とこのジャンルの本は面白いものが多いので、数が増えてきたらカテゴリー分けなどしていこうと思います。
アウトドアに関わる知識、学習系
登山の運動生理学とトレーニング学 / 山本正嘉
登山をするうえで私の聖書になった本。
いざ登山をし始めると「もっと疲れない方法ないのかなあ」、「食料や水の量の適量ってどれくらい必要なのだろう」、「何か登山のためになるトレーニングはないのかな」など、思うことがありました。ネットで調べたりしながら試行錯誤しましたが、何か自分に合っていないような気がすると感じてました。
そんな時この本に出会い、これまでやっていた様々な非効率なことを改善することができ、登山が快適になりました。本のタイトルからして堅苦しそうなイメージはありますが、本を開くと全くそんなことはなく、無知な私にもわかりやすい言葉で書かれていて、イメージしやすいように多くの絵図が差し込まれています。
一つ一つの課題に対してデータを出して原因を出し、改善策を与えてくれます。これによりスッと理解することができるので行動に移しやすく、結果にも出やすい内容でした。
初心者にも経験者にも長く付き合える本だと思います。
山岳気象大全 / 猪熊 隆之
天気予報をみても晴れや雨などのアイコンをみて「明日は晴れか」としか理解できないし、〇気圧だとか、〇前線とかいわれても理解できないし、等高線見ても意味が分からない。そんなレベルの人間がもう少し登山する上で天気のこと知りたいと思いこの本を手に取った。
イラストや実写、天気図などを多く用いていて基本的なことを丁寧に説明してくれている。ところどころ難しいレベルの内容があったが、何度か読み直していくと理解できるようになった。特に山岳に焦点を当てて解説してくれているので実践的に理解しやすい。四季の特徴など知りたかったことも書かれており、全体的に情報量は多く良本だと思う。
アウトドアな本
モンベル 7つの決断 アウトドアビジネスの舞台裏 / 辰野 勇
モンベル創業者 辰野 勇氏が語ったモンベルがどのようにして現在まで歩んできたのかが書かれている。モンベルといえば日本人であれば一番身近なアウトドアブランドの一つであることは間違いないと思う。そんな身近にあるブランドがどのように始まり、これまでにどんな壁にぶつかってきたのか、アウトドア視点、ビジネス視点の両方から楽しめる。企業を考えている人にも知恵や勇気を与えてくれる一冊だと思う。
商品開発の経緯や、ビジネスとしての戦略、アウトドア人としての熱意や信念など詳しく書かれていて面白い。本のサイズも重量も携帯しやすいので、登山に持っていって読むのもいいと思う。
ゆらゆらとユーコン / 野田 知佑
知人に紹介された本。カヌーといえば野田氏らしいが、はじめはカヌーのことは全然知らないのでどうかなぁと思っていたけど、読み始めると止めることができず一気に読み干してしまった。
カヌーに興味がなくても、野田氏を知らなくても全然楽しめる。自由に生きる様とアウトドアの神髄を感じられる内容だった。アウトドアをやっている人であれば多くのことが共感でき、また野田氏の生き様や行動がとても面白い。
これを読むと今すぐにでもアウトドア活動したくなるほど気持ちに熱が入ってくる。私はちょうどテントを担いで縦走しているときに読んでたのでいいタイミングで読むことができたと思う。アウトドア中にこの本を読むとアウトドアをしているときのワクワク感がブーストされた。
石橋を叩けば渡れない / 西堀 榮三郎
第1次南極越冬隊隊長の西堀氏が、その時の体験を元に「創造性」について書かれている。南極の時の話も交えながら読み応えのあるエネルギーを感じる本。「人間は経験を積むために生まれてきた」、「完全にリスクを防止することはできない」、「思いもよらないことが起きるのは前提 」、「生きた知識を得るには実施しかない」などの話は印象的でした。
常に新しいことに挑戦する精神やリーダーとしての姿勢が納得してしまうし、行動力の力を感じる一冊でした。この本を読んだあなたはきっと新しい一歩を踏み出す勇気をもらえるはず。
北海道犬旅サバイバル / 服部 文祥
「服部 文祥」と言えばサバイバル登山。飼い犬のナツとの旅の様子が書かれた本。無銭で何十日も歩き続けるという本当にサバイバルな内容だった。ロングトイレイルや縦走をしたことがある人ならどれほど大変だろうかと随所にリアルに感じられる生臭い文章で書かれている。
行動内容が誰かに似てるなと思ったら「野田 知佑」を思い出した。彼も犬を連れてカヌーでアウトドア活動をしいて、両者ともに一般的なアウトドア活動の先を行くような思考と行動がとても面白い。
サバイバル登山入門 / 服部 文祥
タイトルといい表紙といい即ジャケ買いでした。サバイバル登山とはテントや通信機器のような人工的なものを持たずに、食料も最小限の持ち込みでほとんどが山で調達する自分の力で山を歩くスタイル。このサバイバル登山を具体的にどのように行われているのかをレクチャーしてくれている本。
「私には絶対無理・・・」と思う人もいれば「俺もやりてぇ」と思う人もいるのではないかと思う。自分は後者の方で読めば読むほど体が熱くなってきた。そもそも登山を知る前は、登山ってこういうもの(サバイバル登山)だと思っていたので、これだよコレって感じで眠っていたものが掘り起こされた感じだった。
トレイルズ 「道」と歩くことの哲学 / ロバート・ムーア
この本を読むまで「道」について深く考えたことは無かった。目に見える舗装がされているかされていないかとか、古道を歩いても歴史的背景を感じる程度であって、道そのものに対して何がどうと意識する思考が無かった。この本は約400ページにおよび「道」に関して深く掘り下げている。正直「道」だけの話でよくここまで書けたものだと思うし、内容の濃さには圧巻。タイトル訳に「「道」と歩くことの哲学」と書いてあるが、一般的に想像するような「哲学」的ではなくて、多分この本の内容を表現するために哲学という単語を使ったのだと思う。どっちかというと「探究」や「軌跡」と言葉が感じられる一冊だった。めちゃくちゃ読み応えがる。
羆嵐 / 吉村昭
日本獣害史上最大の羆(ヒグマ)による襲撃事件の話。読み始める前には実話だとわかっているのに、読み始めるとあまりにも壮絶な内容で、「これ、ホラー小説だったけ?・・」と調べ直すほどだった。文章からもその情景が目の前に映し出されている可能用で、臭いも感じられるような文章で一気に読み切ってしまった。
人を襲うクマ / 羽根田 治
こちらも実際に起きたクマ事故の実話集。有名な「日高・カムイエクウチカウシ山のヒグマ襲撃事故」をはじめ、近年起きた笠山、川苔山、乗鞍岳などのクマ事故も含めた書籍。実際に起きた場所が分かるように地図も載せているため非常にイメージしやすかった。行ったことがある山の事故ならなおさら脳内でリアルに想像ができると思う。クマの生態や対処法や事故増加の背景など学びの多い一冊となっている。
狩猟な本
ぼくは猟師になった / 千松 信也
登山を始めてから徐々に猟師になりたいと高まってきている。マタギや猟師の本をいくつか読んでいるときに出会った本。猟師について詳しくない初心者にもやさしい内容で書かれていて、言葉だけではイメージしずらい部分は実写(しかもカラー)を使って説明してくれているので非常にわかりやすい。実写のおかげで現実味を感じやすく温度感が非常に伝わってくる。猟師って一体どう過ごしてるんだろうかと興味を持ってる人やこれから目指そうとしている人にもお勧めできる。猟師の楽しみや大変さもいろいろ知ることができる。
マタギに学ぶ登山技術 / 工藤 隆雄
マタギの知恵や登山技術の原点を知ることができる。現代の登山スタイルに直接的に取り込みやすい技術ではないが、知恵や本質を学べることができる。サバイバル術はいざというときに使えるものがあるし、現代登山と繋がる部分もあるし、全く違った視点からの知恵もあり山のプロから学ぶこと感じることは多かった。そもそもマタギって”こんな感じの人たちでしょ”というイメージがあったが、本書を読むとはるかに想像を超えた人達だった。
モリさんの狩猟生活 / かくまつとむ, 高柳盛芳
群馬・奥利根のクマ猟師・高柳盛芳氏が語る狩猟生活の話。個人的にはクマ研究者山﨑晃司氏×クマ猟師モリさんの特別対談の部分が、クマの生態やよくわかる対談内容で非常に学びがあった。2章の刃物の話も為になり、面白い内容。
意外とアウトドア中に読むと面白い本
自省録 / マルクス・アウレーリウス
古代ローマ帝国の皇帝マルクス・アウレリウスのストア哲学書。小説のように長くない、短文が集積されているようになっているのでちょっとした時間で読み進めやすい。内容としては自己の行動・信条を日記の様で、人間の在り方について触れている。アウトドア中は自然の中で一人になり、集中力が高まるので一つ一つの文章が脳みそに突き刺さる。
幸福論 / バートランド・ラッセル
哲学者バートランド・ラッセルが、自身の経験と考察に基づき、幸福の探求と獲得について論じた名著。哲学書でありながら、分かりやすく親しみやすい文章で書かれている。幸福の概念を深く理解でき、不幸の原因を認識し、幸福な人生を送るためのヒントを得られる本。これもアウトドア中に読むとスッと入り込む。
愛するということ / エーリッヒ・フロム
心理学者、哲学者であるエーリッヒ・フロムの代表作。愛を単なる感情や受動的なものではなく、習得すべき技術であると説いている。哲学的な視点から深く掘り下げていて、精神分析学の知見を基に、愛の心理的な側面を分析しているところが面白い。
宗教・神話
神道-日本が誇る「仕組み」 / 武光 誠
日本の神々への信仰が神道と言われている。この本は神道に関わる本を読んでみたいけど、どこから手を付けたらいいのか分からない人に向いている入門書的な本。神道の起源から現代までどういう流れで伝わってきているかなどの基本的なことが分かりやすく書かれていて全体像も想像しやすい。
いちばん大事な生き方は、伊勢神宮が教えてくれる / 吉川 竜実
日本神道の中心といえば伊勢神宮で、著者の吉川氏は伊勢神宮に奉職してる方。一般的には神社の外側から歴史を読んでいく視点の本が多いが、こちらは神社の内側からの視点で神官が語る言葉が心に響く。神道とどう接していけばいいのか理解できる。こちらも難しく書かれていない、非常にわかりやすい言葉で書かれている。
私はなぜ靖国神社で頭を垂れるのか / ジェイソン・モーガン
タイトル的に「靖国神社」について書かれているのかと思いきやそうでもない。(面白い本なのにタイトル名で損している気がする・・。)
現代の日本がなぜ「こんな風」になってしまったのか、戦後の日本の歴史観や社会のあり方を根本から問い直す一冊で、アメリカ人の著者が、あえて日本人が”見過ごしてきた”歴史の事実に光を当て、日本人自身に「目を覚ませ」と強く訴えかける。全日本人一度読んてみて欲しい、それぞれの歴史認識の違いを照らしわせる面白さがある。
日本書紀 全現代語訳+解説 / 寺田 惠子
タイトル通り、日本書紀を現代語訳+解説されている本。過去にいくつかの日本書紀についての本を読んだけど、これが一番読みやすくくて、わかりやすい。登山やロングトレイルハイキングをしている人なら知っている場所や行ったことある場所も多く出てくるので、よりアウトドア活動が楽しくなってくる。こちらはシリーズになっていて現時点では全8巻(予定)の内3巻まで発刊されている。
だれでもわかるゆる仏教入門 / 松﨑智海
仏教も日本に住んでいれば身近な宗教。興味を持って進んで本を読んだりしている人以外は、知っているようで知らない人が多いのでは?。この本は仏教に関して教養がない人向けの入門書。世の中「入門」と書かれていても難しい本が多い中、これは非常に分かりやすかった。今後詳しく知りたい人にとってもとりあえずこの本を一度読んでからをおすすめしたい。
仏教入門 / 松尾剛次
仏教入門と書かれているが、仏教に関して基礎知識が全くない人が読むと読んでいる途中で「?」が出てくると思う。とはいえ内容的には難しいことは無く、文字通り入門的な本。上記で紹介した「だれでもわかるゆる仏教入門」の一段階上の本という位置づけで基礎知識に厚みを持たせることができる。
日本人のための宗教原論 / 小室直樹
日本人ほど宗教に疎い国民は世界でも珍しい。これは日本にいると感じにくいことだけど、外国に住んだことがある人であれば少なからず自分の宗教への理解の乏しさに気が付く。これらを知ることで日本以外の国で行われていることや考え方を理解できることが増える。宗教について”別に知らなくてもいいこと”、ではなくて”知っておくべきこと”だったと気づかされる。この本はユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、儒教など全体的に網羅してそれぞれの違いなど歴史背景を踏まえて書かれている、この一冊で宗教への知識が格段に上がる。
日本人のためのイスラム原論 / 小室直樹
こちらはイスラム教がどういうものかを中心に書かれている。日本人からして一番遠い宗教ではないかと思う。知識としても断片的に知っている程度で、メディアに流れている印象的な情報を知っている程度の人が多いと思う。はっきり言えば怖いイメージを持つ人が多いとおもうが、知識を高めれば見方も変わるし理解も深まる。日本は移民が増えていくので、他の国のこと宗教のことを知る必要がでてくる。小室氏の本は無知でも、いやむしろ無知な人が理解できるように書いてくれているので頭にスッと入ってくる。よくまとめ上げてくれたことに感謝したい。
小室直樹の中国原論 / 小室直樹
日本人からすると中国人のに対して「何でそんなことする」とか理解できないことが多いと思う。自分は運よく中国本土にも日本にも中国人の友達がいるので、なんとなく習慣や文化は知っていたけど、この本を読んで更に理解が深まった。「あの行動はこういうことだったのか」とか、逆にまだまだ知らないことが多かった。中国人に対して嫌な顔をする前に、自分の知識を高めたあとだと、理解度や感じ方は大分変ると思う。私生活レベルだけでなく、ビジネスや政治の場面でも有効な一冊。
日本人のための憲法原論 / 小室直樹
憲法がなんなのかを全く理解してなかったなと痛感させられた一冊。政治思想史、社会学など多角的な視点で書かれていて、民主主義とは資本主義とは、より理解が深まる。出だしから「日本国憲法は死んでいる」という章で始まり、2章では「誰のために憲法はある」と続いていく。「はぁ・・日本よ・・」とため息が出そうになることもあったが知らないといけないことばかりだった。大変勉強になる本。
古代メソポタミア全史 / 小林登志子
人類最古の文明と言われている一つがメソポタミア文明。現イラク、エジプト、イスラエル、トルコ辺りが対象エリアになる。「シュメール、アッシリア、ネブカドネザル、バビロン、ギルガメッシュ」というキーワードでピンと来たらコレです。
メソポタミアの歴史はまだまだ解明されていないことも多く、今から5000年前の話であることから読み物として難しい本が多い。この本は書き手が書きたいことを書いてる本ではなく、読み手のことを考えられた文章と構成で作られていてこれまで読んできた中で一番読みやすく、上手くまとめてある一冊。
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